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   はじめに
 

私が博士研究員としてヒューストンに留学していた1965年頃には、Guilleminを中心とするSalk Institute(当時はヒューストンのベーラー大学)の研究グループと、Schallyを中心とするチューレン大学の研究グループとが視床下部で産生されるホルモンについて、後に「ノーベル賞の決闘」とまで言われた激烈な研究競争を展開していた。その結果、TRH(thyrotropin releasing hormone)や、LH-RH(luteinizing hormone releasing hormone)が物質として単離され、化学構造が決定されるに至ったわけである。


A.V.Schally博士と筆者 R.C.L.Guillemin博士と筆者
(両博士とも、1977年にノーベル生理学医学賞を授与された。)

 

私は正にその競争の真っ只中に留学したため、GuilleminとSchallyの決闘とまで言われた研究競争を間近で見聞し、TRHやLH-RH(当時はそれぞれTRF注1およびLRF注2と称されていた)という物質が、戦争と言われる程の競争心を研究者に奮い起こさせることに感動し、これらの物質がそれ程までに重要な物なのかと驚かされもした。

帰国後、TRHの化学構造が決定されたと情報が入った時から、それまで行っていたACTHやガストリン誘導体などのペプチド合成研究からTRHの合成研究に仕事をシフトし、その後LH-RH誘導体の合成研究を展開したのは、留学当時に受けた強い感銘があったからだと思っている。




注1 TRF:thyrotropin releasing factor, 甲状腺刺激ホルモン放出因子
注2 LRF:luteinizing hormone releasing factor, 黄体形成ホルモン放出因子
 


// indexへ // 1.TRHの合成研究 // 2.LH-RH誘導体の合成研究 // 2-1)LH-RH類似ペプチドの合成法 // 2-2)LH-RH類似ペプチドの生理活性 // 2-3)前立腺ガンへの応用 // 3.おわりに //


Last updated:1999/03 



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