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で囲まれた内容は添付文書情報、その他は参考情報です。 |
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添付文書情報は2002年9月改訂の添付文書に基づいたものです。 |
特殊病態での使用方法
1.高齢者への投与法
《使用上の注意》
高齢者では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。] |
◯参考情報
承認時及び市販後の調査で、本剤が投与された高齢者(70歳以上)における副作用発現率(臨床検査値の異常を含む)は2.3%(3278例中76例)でした。一般に高齢者では肝機能や腎機能などの生理機能が低下し、代謝・排泄等が遷延する結果、降圧が過大になる場合がみられます。高齢者の場合には、血圧が下がりすぎると、脳血流の減少から脳梗塞を、また、冠血流の減少から狭心症等を起こすおそれがあるとされています。従って、高齢者に投与する場合は、低用量から投与を開始するなど慎重に投与していただく必要があります。
2.妊婦、産婦、授乳婦への投与法
《使用上の注意》
| (1) |
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物試験(ラット)で妊娠期間及び分娩時間が延長することが報告されている。] |
| (2) |
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。] |
|
◯参考情報
1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与
妊婦を対象とした臨床試験は実施されておらず、有効性・安全性が確認されていないこと、また、ラットを用いた動物試験で妊娠期間及び分娩時間が延長することが報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないでいただくことが必要です。
<参考成績>
■生殖試験1〜4)
| |
動物種 |
投与量 (mg/kg/日) |
無影響量(mg/kg/日) |
親動物 |
胎仔・出生仔 |
繁殖試験 器官形成期投与試験 器官形成期投与試験 周産期及び授乳期投与試験 |
ラット ラット ウサギ ラット |
1,3,10,30 3,10,30 10,30,100 1,3,10 |
3 10 30 3 |
3 10 30 3 |
| 1) |
Sandra L. Morseth et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1101, 1989. |
| 2) |
Sandra L. Morseth et al.:薬理と治療,17(S-4), 1119, 1989. |
| 3) |
Sandra L. Morseth et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1141, 1989. |
| 4) |
Sandra L. Morseth et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1151,1989. |
親動物では、ラット及びウサギとも各試験の高用量群で、体重増加の抑制及び摂餌量の減少が認められています。ラットの繁殖試験並びに周産期・授乳期投与試験では、10mg/kg/日以上で、母動物の分娩所要時間の延長と妊娠期間の延長が認められています。この分娩障害は本剤の平滑筋弛緩作用に起因すると考えられます。胎仔の観察では、ラットの繁殖試験及びウサギの器官形成期投与試験の高用量群で胎仔体重の低下が、ラットの器官形成期投与試験では胎仔の骨化遅延が認められており、この原因は母動物でみられた体重増加抑制及び摂餌量減少の二次的影響と考えられました。出生仔の観察では、ラットの繁殖試験並びに周産期・授乳期投与試験における10mg/kg/日以上で、死産仔数の増加及び生後4日目までの生存率の低下が認められていますが、新生仔死亡の原因は母動物の分娩障害によるものと考えられました。
なお、母動物、胎仔、出生仔には、いずれの各試験においても上記以外には特記すべき変化は認められていません。
| 1) |
Morseth S. L. et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1101, 1989. |
| 2) |
Morseth S. L. et al. :薬理と治療, 17(S-4), 1119,1989. |
| 3) |
Morseth S. L. et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1141, 1989. |
| 4) |
Morseth S. L. et al.:薬理と治療, 17(S-4), 1151, 1989. |
妊婦と降圧薬
2)授乳婦への投与
ラットで乳汁への移行がみられているので、授乳中の婦人に投与する場合には投与を避けていただくか、やむを得ず投与する場合は授乳を避けていただくことが必要です。
なお、ヒトで授乳婦を対象とした試験成績は報告されていません。
<参考成績>
■乳汁への移行性(ラット)
14Cで標識した塩酸マニジピンをラットに経口投与すると、14Cは血漿中濃度とほぼ同じ程度ないしやや高い濃度で乳汁に移行しました。乳汁中の14C組成を分析した結果、代謝物よりも未変化体の方が移行しやすいことが明らかとなりました。
[14C]塩酸マニジピンを経口投与したラットにおける乳汁移行
| 試料 |
時間 |
濃度
(μg/ml、マニジピン換算値) |
| 総放射能 |
未変化体 |
代謝物 |
| 血漿 |
1
4
8 |
0.945±0.081
0.278±0.051
0.085±0.019 |
0.013
0.003
N.D. |
0.932
0.275
0.085 |
| 乳汁 |
1
4
8 |
0.616±0.053
0.613±0.122
0.427±0.156 |
0.116
0.113
0.047 |
0.500
0.500
0.380 |
|
投与量:3mg/kg
総放射能は平均値±標準偏差(n=3)
未変化体と代謝物の濃度はプールした試料についての測定値
N.D.:Not detected
|
吉田清志ほか:薬理と治療, 17(5), 2083, 1989.
3.小児等への投与
《使用上の注意》
小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。 |
◯参考情報
承認時までの臨床試験で小児を対象とした臨床試験は実施しておらず、有効性・安全性を検討した成績は現段階では報告されておりません。
小児と降圧薬
4.肝機能障害を有する患者への投与
《使用上の注意》
慎重投与:重篤な肝機能障害のある患者[本剤の代謝及び排泄が遅延するおそれがある。] |
◯参考情報
現時点では、肝機能障害を有する患者を主対象としてカルスロットの有効性・安全性を検討した試験成績は報告されていません。
腎機能正常の本態性高血圧症患者1)及び腎機能障害患者2)に本剤を1日1回20mg朝食後に8日間反復経口投与した場合、尿中には塩酸マニジピンの未変化体は検出されず、すべて代謝物であること、また、投与後24時間までのピリジン骨格を有する代謝物の尿中排泄率は合計2〜5%と低いことから、本剤は肝排泄型の薬剤であることがうかがえます。また、動物実験3)で主に肝臓で代謝され、胆汁中から糞中に排泄されることが明らかにされています。従って、肝硬変など重篤な肝機能障害のある患者では、代謝、排泄が遅延し、血中消失半減期の延長や血中濃度の上昇がみられるおそれがあり、投与に際しては投与量の減量など、慎重に投与していただく必要があります4〜6)。なお、一般的には肝障害を伴う場合には、腎排泄型の降圧薬を選択した方がよいとされています5,6)。
| 1) |
鈴木 伸ほか:基礎と臨床, 23(13), 5043, 1989. |
| 2) |
小野山 薫ほか:臨床と研究, 66(12), 3944, 1989. |
| 3) |
吉田清志ほか:薬理と治療, 17(5), 2083, 1989. |
| 4) |
三上 洋ほか:内科, 70(5), 903, 1992. |
| 5) |
海老原昭夫:治療, 77(9), 2498, 1995. |
| 6) |
増田恭孝ほか:日本臨床, 50(増刊号 高血圧下巻), 232, 1992. |
5.腎機能障害を有する患者への投与
◯参考情報
承認時までの試験で、腎機能障害患者10例に対し1日1回20mgを朝食後に8日間反復投与した場合の血中濃度推移は腎機能正常者のそれとほぼ同様であったこと1)、また、腎循環動態に対する影響を検討した成績では腎機能障害例においても降圧効果がみられ、かつ、本剤投与により糸球体濾過値(GFR)及び腎機能検査値に変動がみられなかったこと2)が報告されています。さらに、その後も腎機能障害を有する高血圧症患者に対し、本剤を投与し有効性・安全性を検討した成績が多数報告されており、これらの成績では本剤は腎機能障害を有する患者にも通常投与量で使用し得る薬剤であると報告されています。一方、猿田ら3)は血清クレアチニン値3.1mg/dl以上、川冨ら4)は血清クレアチニン値3.5mg/dl以上の症例で腎機能の低下が認められた症例があるため、これらの症例に投与する際には慎重な投与を要すると報告しています。
| 1) |
小野山 薫ほか:臨床と研究, 66(12), 3944, 1989. |
| 2) |
青井 渉ほか:基礎と臨床, 23(8), 3230, 1989. |
| 3) |
猿田享男ほか:臨床と研究, 79(7), 2276, 1993. |
| 4) |
川冨正弘ほか:Prog. Med., 14(12), 3229, 1994. |
<参考成績>
■腎機能障害を有する高血圧症患者に対するカルスロットの主な臨床成績
| 対象 |
投与法 |
論文名 |
| 腎性高血圧症58例 |
2.5〜20mg/日、2週間以上(入院)、8週間以上(外来) |
小野山 薫ほか:臨床と研究, 66(9), 2934, 1989. |
| 腎障害を有する高血圧症患者25例(血清Cr値:3.7±3.0mg/dl) |
5〜20mg/日、2〜4週間(入院)、4〜8週間(外来) |
石井當男ほか:Prog. Med., 10(1), 148, 1990. |
| 腎障害を有する高血圧症患者73例(血清Cr値:1.5〜5mg/dl) |
5〜20mg/日(単独あるいはα/β遮断薬もしくはβ遮断薬の併用)、1年間 |
猿田享男ほか:臨床と研究, 79(7), 2276, 1993. |
| 腎機能障害を有する高血圧症患者16例(血清Cr値:平均1.95±0.30mg/dl、0.9〜4.7mg/dl) |
10〜20mg/日、12週間(一部の症例について52週間) |
水野兼志ほか:医学と薬学, 32(1), 59, 1994. |
| 腎障害(血清Cr値:平均2.62mg/dl)を有する高血圧症患者42例 |
原則として10〜20mg/日、1年間 |
川冨正弘ほか:Prog.Med., 14(12), 3229, 1994. |
| 腎実質性高血圧患者16例(GFR≧70ml/min 9例、GFR<70ml/min 7例) |
20mg/日、24週間単独投与 |
大橋広重ほか:日本腎臓学会雑誌, 36(3), 239, 1994. |
| 1) |
小野山 薫ほか:臨床と研究, 66(9), 2934, 1989. |
| 2) |
石井當男ほか:Prog. Med., 10(1), 148, 1990. |
| 3) |
猿田享男ほか:臨床と研究, 79(7), 2276, 1993. |
| 4) |
水野兼志ほか:医学と薬学, 32(1), 59, 1994. |
| 5) |
川冨正弘ほか:Prog. Med., 14(12), 3229, 1994. |
| 6) |
大橋広重ほか:日本腎臓学会雑誌, 36(3), 239, 1994. |
6.透析患者への投与法
《使用上の注意》
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者の透析排液が白濁することがあり、透析排液中にトリグリセライド等脂質の増加が認められたとの報告がある。腹膜炎等との鑑別に留意すること。 |
◯参考情報
1)血液透析患者への投与
承認時までには透析患者を対象とした本剤の臨床試験は実施されていませんが、現時点では、透析患者を対象とした試験成績1)が報告されています。この成績では本剤には透析性は認められず、透析患者への使用に際しても投与量や投与間隔を調節する必要はないと報告しています。
1) 村田敏晃ほか:腎と透析, 41(5), 709, 1996.
<参考成績>
■血液透析患者におけるカルスロットの薬物動態
カルスロットを血液透析患者に投与し、非透析日と透析日に未変化体及びピリジン体の血中濃度を測定したところ、腎機能正常者に比較してCmaxは低く、Tmaxは長かったものの、AUC、T1/2はほぼ等しいことが示されました。なお、未変化体、ピリジン体ともに透析性は認められませんでした。
[対象]慢性維持透析患者6例
[方法]非透析時は朝食摂取直後に、透析時は透析開始2時間前にカルスロット10mgを投与し、血中の未変化体及びピリジン体を測定した。
非透析時の薬物動態 −本研究と他論文との比較−
| |
投与対象 |
薬物速度論的パラメーター(平均値±標準偏差) |
Cmax
(ng/ml) |
Tmax
(hr) |
AUC0-24
(ng・hr/ml) |
T1/2α
(hr) |
T1/2β
(hr) |
S-Cr
(mg/dl) |
| 本研究 |
透析患者
(6例) |
2.73±1.15 |
3.83±2.71 |
11.08±3.86 |
1.36 |
8.15 |
9.8±2.2 |
| 小野山ら |
腎機能正常例
(10例) |
4.1±3.3 |
2.3±1.1 |
17.0±9.2 |
1.0±0.5 |
8.2±6.1 |
3.8±1.7 |
腎機能障害例
(13例) |
3.9±1.5 |
3.5±1.5 |
22.6±9.3 |
1.1±0.2 |
7.6±3.6 |
1.0±0.2 |
| 注) |
10mg・1回投与時の薬物動態値 |
| |
Cmax、Tmaxは実測値、AUCは台形法によりそれぞれ算出した。
|
| |
T1/2はtwo comparment
modelによりα相、β相における半減期を推定した。 |
村田敏晃ほか:腎と透析, 41(5), 709,
1996.
2)腹膜透析患者(CAPD施行中の患者)への投与
CAPD施行中の患者に本剤を投与し、透析液が白濁する症例が報告されています。これらの症例では透析液の白濁以外の自他覚的異常症状は認められていませんが、本剤によるCAPD排液白濁は腹膜炎との鑑別が必要であり、腹膜炎を併発した場合には、重症になることも考えられることから、CAPD施行中の患者さんへの投与はできるだけ避けていただく必要があります。
<参考症例>
■カルスロットにより排液白濁をきたしたCAPD患者例(症例報告)
症例は51歳、女性。1990年に糖尿病性腎症によりCAPDが導入された。カルスロット20mg/日の投与にても高血圧の改善がみられないため、カルスロット40mg/日に増量したところ、翌日にCAPD排液が白濁した。排液中のカイロミクロン値25mg/dl、中性脂肪値29mg/dlといずれも増加していたことよりカルスロットによる乳麋腹水と診断した。白濁はカルスロット内服の中止により半日後に自然軽快した。白濁時、限外濾過量の増加とともに、IgG/ureaクリアランス比が上昇し、大分子の透過性が増加していた。排液中のNO2-濃度の増加はなく、カイロミクロンの増加がみられたことより、この排液白濁にはカルスロットによるリンパ管拡張作用が関与する可能性があると思われた。
加藤明彦ほか:日本透析学会雑誌, 27(8), 1185, 1994.
|