相互作用
ACE−I降圧剤
●アデカット 7.5mg錠・15mg錠・30mg錠
(塩酸デラプリル)
| 相手薬等 |
併用 |
内容・臨床症状 |
機序・危険因子 |
分類 |
対処方法 |
| ・ |
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行 |
| |
リポソーバー (R) |
| |
イムソーバTR (R) |
| |
セルソーバ (R) |
| 禁忌 |
| アンジオテンシン変換酵素阻害剤服用中の患者は、左記のアフェレーシス中にショックを起こすことがある。 |
| |
| |
| |
| |
| |
| |
[例 1]
[例 2] |
|
陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の代謝が亢進し、本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積することが考えられている。 (血液と膜素材の接触により凝固系が活性化されますが、XII因子の活性化(XIIa)とともにカリクレイン・キニン系も活性化され、ブラジキニン(BK)を産生します。ACE−Iは BKの代謝酵素を阻害するため産生された BK が血中に貯留します。BK は血管拡張作用や透過性亢進作用を有することから、BK 貯留にともないアナフィラキシー様のショック症状がみられると考えられています。 1)) |
PK
(M) |
デキストラン硫酸セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行する患者には投与しないこと。 |
| ・ |
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた透析 |
| 禁忌 |
| アンジオテンシン変換酵素阻害剤服用中の患者は、左記の透析中にアナフィラキシー様症状を起こすことがある。 |
| [例 3] |
|
多価イオン体であるAN69により血中キニン系の代識が亢進し、本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積することが考えられている2) |
PK
(M) |
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた透析を施行する患者には投与しないこと。 |
|
|
| 相手薬等 |
併用 |
内容・臨床症状 |
機序・危険因子 |
分類 |
対処方法 |
| ・ |
カリウム保持性利尿剤 |
| |
スピロノラクトン |
| |
トリアムテレン
|
| ・ |
カリウム補給剤 |
|
注意 |
|
本剤のアルドステロン分泌抑制作用にカリウム保持性利尿剤のカリウム排泄抑制作用が加わることによる。危険因子:特に腎機能障害のある患者 (ACE阻害剤はアンジオテンシンII産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウムの排泄が減少して血中カリウム濃度が上昇する。ここヘカリウム塩を投与するとカリウムの過剰が生じる3)) |
PK
(E) |
血清カリウム値に注意し、濃度の上昇が起こるようであれば、カリウム塩を減量又は中止する必要がある3) |
|
|
注意 |
利尿降圧剤で治療を受けている患者に本剤を初めて投与する場合、降圧作用が増強するおそれがある。 |
利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。 (ACE 阻害剤投与により、ループ利尿剤によるNa、水の排泄作用の増強と、反射性に増強したレニンアンジオテンシン系の抑制が生じ、降圧系と昇圧系のバランスが一時的にくずれ、降圧系に大きくかたむく。4)) |
PK
(E) |
少量から開始するなど慎重に投与すること。 |
|
|
注意 |
| 外国において、リチウムと他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル)との併用により、リチウム中毒が報告されている。 |
| |
| |
| [例 5] |
|
腎尿細管におけるリチウムの再吸収が促進される。 (必ずしも明らかではない。ACE 阻害剤により、アルドステロン分泌が抑制され、Naの排泄が促進、糸球体で濾過された原尿中のNaが少なくなり、Naの代わりにリチウムの再吸収が促進され、血中のリチウム濃度が高まる。5)) |
PK
(E) |
リチウムと併用する場合には、血中のリチウム濃度に注意すること。 |
|
|
注意 |
|
非ステロイド性消炎鎮痛剤がプロスタグランジンの合成を阻害し、本剤のプロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる。 4) |
PD |
併用する場合には用量について注意すること。 |
|
|
注意 |
本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。 |
本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある。 |
PD |
併用する場合には用量について注意すること。 |
|
[使用上の注意:その他の項より抜粋]
| |
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。6) |
[出典]
| 1) |
血漿浄化療法 阿岸鉄三 編:p121,1996,医学書院 |
| 2) |
Parnes E.L. et al.:Kidney Int.,40:1148,1991 |
| 3) |
堀美智子監修:医薬品相互作用ハンドブック改訂第2版:p82,2002,株式会社じほう |
| 4) |
厚生省薬務局企画課監修:医薬品相互作用ハンドブック:p20,1992,薬業時報社 |
| 5) |
Navis G. J. et al.:Am. J. Med.,86(5):621,1989 |
[参考]
| 6) |
Herings R.M.C. et al.:Lancet,345:1195,1995 |
【参考症例報告】
| [例 1] |
塩酸デラプリル×デキストラン硫酸固定化セルロース |
1989.7.(43歳、主婦)全身浮腫にて来院、高血圧及び蛋白尿を認め入院。入院時BUN 及びCrは正常であったが、蛋白尿が2.7g/日みられた。降圧剤と共に、プレドニゾロンを30mg/日より開始したが効果なく、ネフローゼ症候群を呈するようになった。同年12月には降圧剤として塩酸デラプリル30mg/日の併用を開始した。浮腫増強のため、1990年3月より限外濾過による除水(ECUM)を開始。同年5月蛋白尿15g/日前後の難治性ネフローゼ症候群を呈すること等より、LDL−A(LDLアフェレーシス)を行った。LDL−Aは血漿分離にポリビニールアルコール膜であるプラスマキュアー(クラレ)を、吸着にはデキストラン硫酸固定化セルロースを用いたリポソーバーLA−40(カネカ)を、抗凝固剤はヘパリンを使用した。LDL−A開始20分後より顔面紅潮し、胸内苦悶を訴え、血圧が140/100から112/70mmHgに低下した。LDL−Aを休止し、血漿分離膜をバイパスさせ、酸素吸入を行い症状は速やかに回復した。そこで、再びLDL−Aを開始したところ、数分後に再び同様な症状を来し、血圧も102/80mmHgと低下した。LDL−A休止にて症状は回復したが、再々開始しても同様な症状を来したため、吸着管内に血漿を残してLDL−Aを終了した。終了後血圧は130/90mmHgに回復した。
[出典]滝下佳寛他:徳島県立中央病院医学雑誌、15(1):41,1993
| [例 2] |
リシノプリル×トリプトファン固定化ポリビニルアルコール |
症例は高血圧症にて以前よりリシノプリルを内服していた62歳の女性。四肢末梢のしびれを自覚し、また下肢の脱力感を認め歩行不能となり入院。ギラン・バレー症候群と診断され、入院翌日よりトリプトファンカラムを用いた免疫吸着療法が開始された。しかし開始直後から著明な血圧低下と、胸部・腹部不快感を訴えたため、吸着療法は中断された。翌日よりリシノプリルが中止され、抗凝固剤をヘパリンからメシル酸ナファモスタットに変更し吸着療法が施行された。その後は血圧低下を認めず、またリシノプリルの十分な休薬期間後、抗凝固剤をヘパリンに戻して吸着療法が施行されたが症状は出現しなかった。
[出典]田沼厚人他:日本腎臓学会誌2002:44(6);649
| [例 3] |
エナラプリル×アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69) |
患者は67歳の男性で、AN69膜(Filtral 16、Hospal、France)により7カ月来透析していた。1989.8.13.中等度の高血圧のため、エナラプリル投与開始(2.5mg/日)。8.21.透析開始時に、目及び口の粘膜の軽度の浮腫ならびに低血圧を来たした。次の透析時に重篤な顔面、口内、喉頭粘膜の腫脹、嘔吐、腹部痙攣を呈した。これらの症状は血液の最初の体外循環の直後におこった。透析膜をAlwall GFS Plus 12, Gambro、Sweden に変更し、エナラプリルを中止。そのあと症状の再発はなく、1カ月後にエナラプリルの再投与を開始したが、問題はない。
[出典]Christian Tielemans et al.:Kidney Int.,38:982,1990
高血圧と中等度の腎不全のある55歳の男性患者が、スピロノラクトンを100mg/日×1週間、300mg/日×1週間、その後200mg/日の処方がされた。その時点で、高血圧に対してはエナラプリル、プロプラノロール、徐放性ニフェジピン、フロセミドで治療を受けていた。外来で不調を訴えた為に血清中カリウム値を測定したところ7.7mmol/Lであった。その後、スピロノラクトンを中止し、ブドウ糖、インスリン、カルシウムを投与した。これらの頻回の投与にもかかわらず、血清カリウム値は6.3〜7.5mmolで、正常値に戻るのに48時間以上かかった。
[出典]Morton AR et al.:Lancet, ii:1525,1987
患者は、46歳の男性で、45歳時に精神科に入院歴がある。46歳時に興奮状態となり、躁状態との診断で入院した。当初、抗精神病薬としてハロペリドール4.5mg、スルトプリド500mg、クロルプロマジン12.5mgと、降圧剤としてデラプリル(ACE 阻害剤)30mgとニカルジピン(Ca 拮抗剤)60mgが併用された。入院して1カ月ほどで炭酸リチウム400mg が追加され、その22日後には600mgに増量された。一方、血中濃度はリチウム投与後44日目に1.1mEq/Lであり、腎機能も正常であった。ところが72日目に血中濃度2.5mEq/Lであることがわかり、すべての内服薬を中止した。その翌日(中毒1日目)から、傾眠傾向、言語障害、嚥下困難、転倒が見れ、中毒4日目には血中濃度が3.0mEq/Lとなり、7日目には意識障害を呈した。治療として1日2,000mlの輸液を開始した。しかし、経過を通じて血液透析は行わなかった。中毒10日目には、リチウムの血中濃度が1.9mEq/Lと依然高値を示したが、17日目には0.1mEq/Lとなり、腎機能も正常に復した。意識は約2週間で回復し、その後は、レボメプロマジンによる維持療法が、躁状態の再発予防に奏効した。
[出典]深尾琢他:精神医学,39(2):205,1997
| [例 6] |
カプトプリル×非ステロイド性消炎鎮痛剤 |
高血圧症患者18人のうち10人にインドメタシン(25mg 6時間毎)を、8人にアスピリン(600mg 6時間毎)を、それぞれカプトプリルに併用したところ、インドメタシン9人、アスピリン4人でカプトプリルによるプロスタグランジンE2代謝物増加作用が阻害され、その13人の血圧は、併用前−20±3mmHg、併用後−13±2mmHgであった。
[出典]Moore TJ et al.:Hypertension,3:168,1981
|
|